四龍の舞~奄美龍の衣裳

衣裳とは、舞踊をする者にとって大変重要な物であり、衣裳を身につけた時に生まれる何かがあり、身体と心を結びつけて舞い踊る気持ちを高揚させるほどの力を持つ大切な一部です。

この度は奄美を象徴する龍であり、四龍の中心なる奄美龍を舞わせて頂きました。地球の中心と云われる奄美の大地を護っているハブ神様。この奄美にとっての叡智でもあります。その地を耕す人々の道具を考え、デザインされたものが大島紬です。

この紬の工程は、複雑で糸の一本一本に柄をつけ、縦糸横糸を組み合わせ各々の絵が出来ます。古くから龍郷柄(ハブ柄)、秋名バラ(バラと云う農業の道具)があります。

今回の奄美龍は、秋名バラを使仕立てお願いしました。ところがこの秋名バラがすでに織られてなく、いくら捜しても小さな切れ端しかなく、それを継ぎ合わせ何とか形にして格好は付けました。

しかし、出発前日アイロンをかけようと衣文掛けにかけたものを見ると、どうしてもイメージが湧きません。私はその場に立ち尽くしてしまい、ん~んと唸ってしまいました。そして、遂にこれでは舞うことが出来ない!駄目だということで、大急ぎで探し回り漸く一軒の店を見つけました。

一丹それも柄の大きさも良し。イメージが浮かんで来たところに、仕度の方がやって来て「判りました」と持ち帰り、たった一日で仕上げて下さり、翌日、飛行機にのる寸前に衣装を手にすることとなりまして、無事天河様に間に合いました。

大変な思いをしましたが、納得のいく出来栄えとなり、ご奉納では安心して気持ち良く舞うことが出来ました。

この衣装を纏い、奄美龍を天河様にご奉納出来ましたこと、本当に嬉しく思っています。

誠にありがとうございました。

花柳 鶴寿賀(鶴阿彌)

四龍の舞~奄美龍の衣裳」への1件のフィードバック

  1. 鶴先生 こんにちは。やっぱりそうだったのですね。衣装から伝わる、エネルギーに面食らっていました。ギリギリで、出逢うべくして出逢う衣が、多々有りますよね。
    素晴らしい。

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